『なぜ俺なんだ?~僕はひとりぼっち』 6月17日(木)
誰か大切な人を亡くした、という人が僕の前におり、
「なぜ俺なんだ?なぜ俺だけがこんな苦しい思いをしているんだ?なぜ君では無く俺なんだ?」
と責めるように言ってくる。
「僕だっていつか、同じような苦しみを経験することになるんだよ。君だけじゃないんだよ。」
と言いたいが、そんな言葉は届かないことがわかっているから実際には口にしない。
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高校の校庭?
雨上がりで、地面が濡れている。
その上を自転車で走っている。
映画学校に通っていた時の同級生のKが同じように自転車に乗ってやってきて
「あれ、いつもひとりぼっちの人が今日もまたひとりぼっちでやってきたなぁ。」
と、僕のことをからかってくる。
とくに腹も立たず、「そうなのだ、僕はいつも気がつくとひとりぼっちになってしまうのだ」と改めて気づく。
校舎に足を踏み入れると、観光ツアーに参加している感じの人たちが数人待っている。
彼らは僕の方を見る。
そうだった、観光ガイドの仕事をしているのだった、と思い出す。
僕は旗を持ちながら、今回のツアーについての説明を始める。
自分でも驚くほどスムーズに口から説明が出てくる。
説明によると(自分が話しているのだが、頭では考えていない)ここは鎌倉で、有名な渓谷をこれから見に行くのだ、と言う。
観光客たちがぞろぞろと渓谷の方へ歩き出すと、僕はまたひとりぼっちになる。
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