『バスの止まらない小銭』10月7日(木)
バスに乗っている。
さびれた港町のようなところを走って行く。
急でくねくね折れ曲がる坂道を下って行く。
曇り空を見下ろした先に波の髙い太平洋が見える。
冬の海のようだ。
バスは、僕の目的地に着く。
運賃箱に1000円札を入れて小銭に崩そうとすると、機械が壊れているのか、小銭が1000円分よりはるかに多く出て来る。
僕は特に何かを思うより先に、自分のズボンやジャケットのポケットに止めどなく出て来る小銭を入れる。
バスの運転手は出続けている小銭や僕の行動には無関心のようで、運転席からあらぬ方向を見つめている。
途中で僕は自分のしていることがものすごく恥ずかしい、いやしいことだと思い、小銭うけに伸ばしていた手を止める。
でも、一度ポケットに入れた小銭を戻すことまではしない。
戻すことができない自分をもう一人の自分が見ていて、責めるような悲しいような気分になっている。
『麻生さんの物まね』10月6日(水)
高校か大学かの部室のような部屋にいると、自民党の麻生太郎さんが現れてだしぬけに言う。
「昨日の昼のラジオ番組で私の物まねをしていたのは誰かね?」
不快そうな表情である。
僕がなんのことだかわからずドギマギしていると、物まね芸人の松村邦洋さんが部屋に入ってくる。
「あ、あれは私です。」
少し緊張した面持ちで松村さんが言う。
しかめっ面だった麻生さんが、一転して顔をほころばせながら
「素晴らしかったよ!」
と松村さんに握手を求める。
松村さんは調子に乗ったのか、その場で少し悪意のある感じの麻生さんの物まねを披露する。
「未曾有」を「ミゾウユウ」と読んでしまったこととか。
それでも麻生さんは楽しそうに笑っている。
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