『先輩の膀胱がん』9月27日(月)
前に勤めていた会社(10年以上前)の営業の先輩ふたりと出会う。
MさんとUさん。
Mさんによると、Uさんが膀胱がんを患っている、という。
しかも、今夜、手術だとか。
結構進行しているようだ。
お世話になった人だし、その手術についていくことにした。
その病院は、巨大なテントのような空間で、楕円型の繭(まゆ)のようなフォルムをしている。
中は広大な草原のようになっている。
草原の一角にUさんが待機している小屋がある。
誰かが、「Uさん、きっと苦しんでいるから応援に行ってあげなよ」と言う。
行って小屋の扉を開けると、中はベッドではなく干し草が高く積まれており、看護師さんに付き添われたUさんがその干し草の上で苦悶の表情でのたうち回っている。
「ご迷惑かもしれませんが、痛いところをさすりますよ」
と言うと、Uさんは
「そんなのいらねーよ!」
と言っていたが、そのうち
「腰のあたりを頼む」
と言ってくれる。
僕は一生懸命に腰をさする。
妊婦の出産に立ち会う夫のようだ、と思った。
僕の手のひらの熱が彼の腰を通して伝わっているのがわかる。
Uさんは少し痛みを我慢できるようになったようだった。
もうすぐ手術だ。
きっとうまくいく、と僕は思った。
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