『人を動かす 』D・カーネギー 著  山口博 訳 創元社        その4(パート3 人を説得する十二原則のうちの1~4)

本の紹介

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『人を動かす』を少しずつ読んで紹介しています。

カーネギーの本を読んでいると、なんだか合気道の達人に話を聞いているような気分になってきます。相手が腕を振り回して殴りかかってところを最小限の力で、相手を傷つけることなくフワッと畳の上に転がして笑顔をたたえている、と言った感じ。

人を説得する十二原則

3パート目は 「人を説得する十二原則 」ですが、今日は①~④までを紹介したいと思います。

① 議論を避ける~議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける。

② 誤りを指摘しない~相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。

③ 誤りを認める~自分の誤りを直ちに快く認める。

④ 穏やかに話す。

① 議論を避ける~議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける。

この章では、表題の通り、議論を避けることを勧めています。

議論に勝つことは不可能だ。もし負ければ負けたのだし、たとえ勝ったにしても、やはり負けているのだ。なぜかと言えば―――仮に相手を徹底的にやっつけたとして、その結果はどうなる?―――やっつけたほうは大いに気をよくするだろうが、やっつけられたほうは劣等感を持ち、自尊心を傷つけられ、憤慨するだろう

本書:P152

普段僕は人との争いを避ける方ですが、仕事などで、特に同僚と意見が合わない時に自分が曲げたくない部分に対して意固地になるところがあります。全体的に見て(と言っても僕が見ている「全体」にも歪みがあり偏りがあり、部分的であるのですが)どう考えても自分が言っていることが正しい、と言う時にうまく折衷案を模索できなくなってしまうのです。もし、もう少し寛容になってまず相手の話をよく聞く、という態度が取れたら僕の人間関係はもう少しうまく行くのに、と思います。

トラックの営業マンの逸話が出てきます。

彼は議論で相手を言い負かすことが得意で、お客さんから自分の売り込んでいるトラックにケチをつけられた時に議論では勝つものの一向にトラックが売れなかったそうです。ところがカーネギーのアドバイスを受け入れて、まずお客さんの話を聞き、ライバル社の長所を褒めたたたえることにしたら結果が全く変わるようになったそうです。ライバル社のトラックを褒めるとお客さんはそれ以上何か言うことができなくなってしまいます。そこではじめて自分の販売しているトラックの長所を話し始めると、お客さんは聞く耳を持ってくれてセールスがうまく行くようになったのだそうです。

これなどは営業職の僕にとってはダイレクトに参考になる話でした。今度実際に試してみよう…。

② 誤りを指摘しない~相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。

これは前の章と通じるような内容ですが、もし、相手の意見が間違っているとわかったときにでも、まずは「おそらく私の間違いでしょう」と言う前置きをして、相手の意見をいったん受け入れてじっくり聞いてみる、ということが大事なのだそうです。

人は誰も、真っ向から自分の言ったことに反抗されたり間違いを正されたりすると敵対心を持ってしまうものだと書かれています。たしかにその通りだと思います。たとえ自分が間違っているようなときでも、断定的に「間違っている!」と言われると自己防衛本能が働いてどうしても頑なになってしまうということがあると思います。

まず受け入れることによって、相手は自分で自分の非に気づくことすらある、と言います。

これも自分の生活に取り入れていきたいと思います。

③ 誤りを認める~自分の誤りを直ちに快く認める。

誰かに何か間違いを指摘された時、口論したり反論するのではなく、まず誤りを認めることでその後の展開が全く変わってくる、と言うことが書かれています。

これは前に語られている「誤りを指摘しない」という内容と合わせ鏡のような内容ですが、いずれにしても相手の出方に対して反発したり拒絶するのではなく、受け入れてしまう、と言う点で似ています。

相手が間違っていても、自分が間違っていても、まずは柔らかく相手を受け入れてしまうということが大切なのだと思います。

国と国との外交ではこういった性善説だけではうまくいかない場面が多々あると思います。でも、人と人との関わりは国家間の外交とは違って、もっと性善説でいっても良いのかもしれません。

そういえば僕が勤めている会社の社長を連れてクレーム対応に客先を訪問した時、こんな風に言っていました。

「そうですよね、本当にお怒りだと思いますし、お困りだと思います。僕もどうしたらいいかな、と思って。なにか良いご意見ないでしょうか?」

といった形で、相手の攻撃をフワッと大きな布でくるんでしまうような形で、こちらの非を認めながら建設的な意見が出るように促していました。

相手もただただ揉めたいだけではなく、現状を少しでも良くするような出口を見つけたいと思っているはずなので、こちらの間違いや失敗を認めたうえで出口に至る道を一緒に探る、ということが大事なのかも知れません。

④ 穏やかに話す。

この章でも、何か争いごとがあった時には、あくまでも穏やかに、友情を持って接していこう、ということが書かれています。相手が攻撃的になっている時にこちらも攻撃的になってはお互いに傷つくばかりです。

リンカーンは以下のように書いているそうです。

相手の心が反抗と憎悪に満ちている時は、いかに利を尽くしても説得することはできない。子供を叱る親、権力を振りまわす雇い主や夫、口やかましい妻―――こういった人たちは、人間は自分の心を変えたがらないということをよく心得ておくべきだ。人を無理に自分の意見に従わせることはできない。しかし、優しい打ち解けた態度で話し合えば、相手の心を変えることもできる

本書:P190

我々は相手が好戦的に何か言ってきたときにはどうしても頑なになり、攻撃態勢をとってしまいがちです(僕もとても身に覚えがあります)。でもその時こそ、あくまで柔らかく、穏やかに対応するべきなのでしょう。

この章では、従業員の激しいストライキにあった時に、真摯に従業員の家に訪問して話を聞いたり、友好的な演説をすることで和解に至ったロックフェラー二世の話などが紹介されています。

また、子供の頃に聞いたイソップ童話の『北風と太陽』も紹介されていますが、こういう流れで思い出すことで、また一層深く自分の人生の中で意味を持ってくる気がします。

今日のまとめ

今日は

① 議論を避ける~議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける。

② 誤りを指摘しない~相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。

③ 誤りを認める~自分の誤りを直ちに快く認める。

④ 穏やかに話す。

について勉強しました。

人間て、「正しさ」だけでは生きていないんだなあ、ということがよくわかるパートでした。というよりは、「正しさ」ではほとんど生きていない。良くも悪くも自分や自分の考えを肯定してくれる存在や環境を望んでいて、それを原動力にして生きている。良いとか悪いとかではなくて、そういうものだと認識する必要があるんだと思いました。

そのうえで、カーネギーの説くやり方で身の回りの人や仕事で出会う人たちに接してみたいな、と思っています。

次回はパート3『人を説得する十二原則』の続きです。宜しくお願いします。

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