『駐車場の変わった強盗~生まれたての子猫』10月17日(日)
どこか地方のデパートにいる。
車に乗るため屋上の駐車場へ出る。
とっぷり暮れて夜である。
白いセダン型の車がそろりそろりと動いている。
中には痩せた男がシートを倒して寝そべっており、具合が悪くて寝ているようにも、既に死んでいるようにも見える。
なぜ動いているのかわからないまま、なんとかしなければ、と思い、車の横を押したり前から止めたりして、他の車にぶつからないように誘導した。
落ち着いたところで、ドアを開けて男に
「大丈夫ですか?!」
と叫ぶと、男はニヤリとしながら
「金を出せ」
とつぶやく。
男の手には刃物が握られている。
なんだかよくわからなが、手の込んだ強盗だ、と思いながら、僕は脱兎のごとく逃げ出し、デパートへ通じるドアを開けた。
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小さな、生まれたばかりの真っ白い猫を抱っこして歩いている。
この猫を抱きしめていると、僕は全てを許されているような感覚になるのだった。
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