『人を動かす』D・カーネギー 著  山口博 訳 創元社 その1(パート1 人を動かす三原則)

本の紹介

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『人を動かす』。

よく聞くタイトルで、座右の書としている人も多いと聞きます。

1936年に出版されて以来世界中で売れ続けている本なのだそうです。

人間のうちに眠る超能力によっていかに人を動かすことができるか、という念力入門書の名著、というのは嘘で(誰も騙されないですね(笑))、人間関係をいかに良くし、人生をいかに良く生きるかについて書かれた本のようです(これから読むのでようです、と書きました)。

原題は『HOW TO WIN FRIENDS AND INFLUENCE PEOPLE』。友人を得て、人に影響を与える方法。といったことのようです。

僕はこの本に限らず、こういった啓蒙書をほとんど読まないで生きてきたので、これからはいろいろ読んでいきたいと思っています。

内容の濃い本のようなので、少しずつ読みながら書いていきたいと思います。今日は4パートあるうちの1パート目を読んでいきます。

ちなみにデール・カーネギーさんは鉄鋼王と呼ばれたカーネギーホールのアンドリュー・カーネギーさんとは別の方です。

人を動かす三原則

1パート目は人を動かす三原則。

① 盗人にも五分の理を認める~批判も非難もしない。苦情も言わない。

② 重要感を持たせる~率直で、誠実な評価を与える。

③ 人の立場に身を置く~強い欲求を起こさせる。

どれも大事そうです。

① 盗人にも五分の理を認める ~批判も非難もしない。苦情も言わない。

ここでは、リンカーンやアルカポネ、ルーズヴェルト大統領、作家のマークトゥエインなどの様々な事例を挙げて、

・人はいかに自分を正当化してしまう生き物であるか。(アルカポネのようなわかりやすいマフィアであっても、自分のことを悪人ではなく慈善事業家だと思っていた)

・人間は↑のような生き物なのだから、たとえその人に非があったとしても、人を責めたり批判することは結局恨みを買ったり自分に返ってくることになる。

・相手を理解し、許すことこそが最善の道である。

といったこと語られます。

僕の会社の職場などでも、仕事が出来ないことで特定の人がみんなから冷たい目を向けられるようなことがあります。

僕自身、そういったことに加担している時があります。その人に直接何か言うか言わないかは別にして。特に自分がやっている仕事に影響がある時はなおさらです。その人に直接言わないまでも、他の出来る人に仕事を振ってしまったりします。

でも、それは結局いつか自分へしっぺ返しがあるのかもしれません。

少なくとも、何か批判めいたことを言ったとしても、それが快く受け入れられることはまずなく、その人の中に多くの場合は恨みや復讐心を育てるような結果になるのだ、と反省しました。

人を批評したり、非難したり、小言を言ったりすることは、どんな馬鹿者にもできる。そして、馬鹿者に限って、それをしたがるものだ。

理解と寛容は、優れた品性と克己心を備えた人にはじめて持ち得る徳である。 

本書:P26

この章の最後には、『父は忘れる』という当時のアメリカで有名だったというエッセイが載っています。子供に対して小言ばかり言っていた父親が、それまでの自分を反省して、どうして子供が小言を言われるようなことをするに至ったのか、理解し、許すことを決意する、というような内容で、子供を2人持つ僕にとっても身につまされるものでした。

② 重要感を持たせる ~率直で、誠実な評価を与える。

人を動かす秘訣は、間違いなく、一つしかないのである。すなわち、自ら動きたくなる気持ちを起こさせること―――これが秘訣だ。重ねて言うが、これ以外に秘訣はない。

本書:P32

この章では、「人間は自分が重要な存在である」と思いたがるもので、そういう「重要感を持たせる」ことができればその人を動かすことが出来る、と書かれています。

自分に置き換えても、会社で何か上司に批判されたりしたことって素直に聞けなかったりしますが、やっぱり褒められたり、何かのことで頼られたり感謝されたりすると頑張ろう、と思います。

重要感を持たせるには、適切に相手を褒めることが必要ですが、見え透いたお世辞は逆効果であるとも書かれています。たしかに、歯の浮くようなお世辞を言われると逆にその人のことを信用できなくなったりしますよね。ではどうすればよいか。本当にその人のことを褒めるためには、その人をしっかりと見て、その人の長所を認める必要がある。

実際やろうとすると難しいことかもしれませんが、ここは赤塚不二夫の精神で臨むしかない、と思いました。

自分が最低だと思えばいいんだよ。自分が一番バカだと思えばいいんだよ。そうすりゃ、みんなの言うことがスーっと頭に入ってくんだよ。

自分が最低だと思えばいいんだよ。自分が一番バカだと思えばいいんだよ。そうすりゃ、みんなの言うことがスーっと頭に入ってくんだよ。|赤塚不二夫の名言 (the-greats.com)

本書にはエマーソンの言葉が引用されています。

どんな人間でも、何かの点で、私よりも優れている―――私の学ぶべきものを持っているという点で。

本書:P47

たしかに、周りにいる誰かの素晴らしさとか長所とかが雲間から光が指すように見えるときってありますよね。僕はそれをあまり言葉にして伝えてこなかったけれど、これからは伝えていきたいと思いました。その人を動かしたい、なんていう気持ちが無くても、それをすることで自分を取り巻く半径数メートルの世界が少し良くなるのでは、とは思います。

※この章でスティーヴィーワンダーのことが出て来てちょっとびっくりしたのですが(初版が1936年ですから)、これはカーネギー協会によってあとから加筆されたもののようです。いまカーネギーさんが生きていたら、きっとビルゲイツとかイーロンマスクとか、スティーブジョブズなどのエピソードが書かれるのかもしれません。

③ 人の立場に身を置く~強い欲求を起こさせる。

人に何かやってもらおうと思った時に、こちらの思いだけで無理矢理にさせようとしてもどうにもならない、ということはよくあると思います。

その時に必要になるのが、相手の立場になって考えてみる、ということです。

人間以外を動かす例として、魚を釣るには魚が好む餌をつける必要があるとか、小牛を歩かせるためには指口に入れて舐めさせればよい、などが書かれています。

魚の例など、そりゃそうだろとも思いますが、日々の人間関係で我々は魚を釣るつもりなのにキャベツを餌にしてしまったり、牛をただただ引っ張ったり押したりしているだけ、ということをしているのかもしれません。

人間は基本的には自分の欲求をベースにして、その欲求を満たすような行動をする生き物なので、外から無理矢理に(叱られたり批判されたりして)行動するようにはできていないようです。

人を動かす唯一の方法は、その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやることだ。これを忘れては、人を動かすことはおぼつかない。

本書:P50

僕は営業職なのですが、これは営業の仕事をするうえでは心に刻んでおかないといけないなあ、と思わされます。こちらの思いだけで何かを買ってもらおうとしてもうまく行きませんが、お客さんが抱えている問題や課題に寄り添うように製品を提案できると、買ってもらえることが多いのです。もちろんいつもうまく行くわけでは無くて、いつも試行錯誤しているわけですが…。

また、やはり自分の子供に何かさせたいような時には、彼や彼女の欲求を分かったうえで、それに沿う形で提案したりするとうまくいく、と書かれています。こちらは正直、全然うまくいったためしがないので(笑)、是非参考にしたいと思いました。

本の例では、偏食の男の子がいて、両親はご飯をたくさん食べてほしいといつも思っていました。その子には近所の嫌なガキ大将にいつか勝ちたいという欲求があったため、好き嫌いなくご飯を食べれば、ガキ大将にも勝てるよ、という両親の言葉に反応して彼はご飯を食べるようになったということです。

子供たちに向き合うきっかけにしたい、と思います。

少しずつ読んでいきます。

人生も40数年経ち、ボンヤリした僕でも人間関係にもいろいろ悩んでいたりするわけで、ここまで読んだだけでもかなり響くものがあります。

今日読んだのは全体の1/5くらいですが、少しずつかみしめるように読み進めていきたいと思います。

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