『もしも一年後、この世にいないとしたら。』(清水研 著)

本の紹介

最近読んだ本の紹介をしたいと思います。

タイトルは、『もしも一年後、この世にいないとしたら。』。著者は国立がん研究センター中央病院の精神腫瘍科長である清水研さんです。

図書館でタイトルを見た時、何か、冷たいつむじ風がサッと通り抜けたような、でもどこか爽やかさを残すような、そんな印象を受けました。

著者の仕事は、がんに罹った患者さんやその家族の心のケアをすることです。この本は、著者が彼らとの対話や関わりの中での経験や気づきのエッセンスをまとめたものです。この仕事に就いた当初は、クライアントへの寄り添い方がわからずつらいことばかりで、日々やめたいやめたいと思っていたそうです。ただ、真摯に自分の人生や死に向き合う方々の言葉や姿にを通じて著者自身の人生も変わっていったと言います。

文章の読み口はどちらかといえばあっさりしていますが、そのメッセージは深く、僕の印象に残りました。

人は、特に現代人は医学の進歩で寿命が飛躍的に伸びています。ただ、その分

ついつい自分の「死」をただただ遠ざけ「いつまでも死ぬことが無いかのように生きている」人が多いのではないかと思います(きっと僕もその一人です)。でも、当たり前ですが誰もが本当はわかっている通りそれは間違いで、誰でもいつかこの世からいなくなる時が来ます。

がんになられた方たちは僕と同じように、「このままずっと(永遠にではないにしても)生きられる」と思っていたところに突然、「人生の期限」を突き付けられた人たちです。(もちろん、がんになったからと言って必ず亡くなるわけではないですし、ステージやがんの種類にも寄りますが生存率はイメージよりも随分上がっているようです。)

そのような場面になったとき、これまで隠していた人生の課題(家族との関係や本当にやりたかったことなど)に向き合うことになる人が多いようです。また、人間には「レジリエンス」といって困難に立ち向かう力があらかじめ備わっているとも書かれています。危機にあってその人間の価値は測られるのだな、とも思いました。

人生の期限を突き付けられた時、多くの人は当たり前のように思っていた日常をいつかは必ず失われるありがたいものだと認識し、人生に対する感謝の念が芽生えるそうです。また、残されたその貴重な時間をどのように生きるかを深く考えるようになり、やるべきことを先延ばししない、という意識につながるようです。私たちは生きていると社会的な常識や家族からの期待など「~しなければいけないといった=must」の感情に囚われて生きていることが多いですが、人生が期限付きだとわかったとき、「本当に自分がやりたいこと=want」に否が応でも気づかされます。

この本を読んで僕が強く思ったことは、

自分の人生が1年後、3年後、5年後には終わるかもしれないという危機感を持ち(そしてそれは事実そうかもしれない)、もしそうならば悔いのないように生きるためにいま、今日、何をするべきなのか、それを自分自身に問い続け、実行していきたい

ということです。

是非、皆さんの感想もお聞きしたいです。

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もしも一年後、この世にいないとしたら。 [ 清水研 ]

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